フィリピンのドゥテルテ大統領、中国と和解か

10月3日のジャパンタイムズは、フィリピンのドゥテルテ大統領が、アメリカからの批判に対して、中国カードを切ったことを報じています。

ドゥテルテ大統領は、もともとアメリカとの友好関係を保っていましたが、オバマ大統領に対する暴言を吐いて、関係を悪化させました。

3か月前、ドゥテルテ氏が、大統領に就任して以来、麻薬撲滅のため、3000人ほどの麻薬ディーラーと、利用者の徹底的虐殺をしました。

これに対して、アメリカが批判的になったことを受けての暴言でした。

このときは、何とかおさまったのですが、さらに、今回は、ヒトラーは300万人殺した。
俺は、ヒトラーと同じように、国家に反逆するものは殺す、という派手な発言をして、ユダヤ系の人々の神経を逆なでしました。

この批判に対して、ドゥテルテ氏は、中国サイドへの鞍替えを決めたもの。

今月中に中国を訪れて、「南シナ海」の中国支配領域へのフィリピン漁船の出入りが認められる予定で、これを達成すれば、ドゥテルテの手腕は、国民の大きな支持を得ることは間違いありません。

現時点でも、イケイケ発言が功を奏して、ドゥテルテ氏の人気は、アメリカにおけるトランプ氏のそれよりはるかに高く、「やり手」としての評価は高まるばかり。

Philippine President Rodrigo Duterte will travel to China this month on a visit that could redraw alliances in East Asia after his incendiary comments about the United States and active courting of Washington’s chief rivals.

「フィリピンの大統領、ロドリゴ・ドゥテルテ氏は今月、東アジアの同盟関係を、改めて見直すための訪中を行う。これは、アメリカと、ワシントンのライバルたちの法廷にまつわる発言に対する敵対的な言動の後のことである」

incendiary というのは「扇動的、ひとをあおるような」という意味のことばですが、同時に「放火犯の」という意味もあります。

英英辞典によると、1.designed to cause fires 2. causing strong feelings or violence という意味で、人の気持ちに火をつける、ということのようです。

この記事を報じているロイターでは、さらに、
The friendly relationship between the Philippines and the United States has been one of the pillars of Waxhington’s strategic military rebalance to Asia under President Barak Obama.

「フィリピンとアメリカとの友好的関係は、オバマ大統領のアジア地域に関する戦略的軍事バランスの重要な一環であった」

しかし、
But the alliance has been under strain since Duterte came to power three months ago and chafed at US criticism of his bloody war on drugs, which has led to the killing of more than 3100 alleged drug uses and dealers by police and vigilantes.

「しかし、友好関係は、ドゥテルテ氏が3か月前に権力を握り、麻薬取締の血まみれの作戦に対し、アメリカの批判に激怒したことから、悪化した。この取り締まりでは、3100人もの麻薬利用者とディーラーが、警察とその支持者により殺害された」

under strain は「影が差す」under the strainだと、けがを負う、というような意味合いです。
chafe は、to feel annoyed and impatient about something, especially because it limits what you can do で、「何かについて激怒する、特にそれが、自分のできることを制限するので」ということですね。

世界各地で、荒っぽいリーダーたちが登場して、きな臭い動きが加速しています。

明日の国際社会がどう動くのか、不安なところです。

英英辞典を利用して、本当の英語の意味を学びつつ、世界情勢に関する英字新聞の記事を読んでいきましょう。

毎週月曜日午後5時20分ー6時50分、参加費用は1回ごと4000円(税別)です。定員は三人まで、予約が必要です。ご連絡をお待ちしております。

コメントは受け付けていません。