英語学習の英雄②

高校1年の夏の日のことです。

わたしは、英語が不得意だったため、千種にある、予備校に通っていました。

ここでは、週6日、午前中に授業が行われ、月、木が英語の授業3コマとなっていました。

たまたま、関係詞の項目でした。

当時、関係詞が見事にわかりません。

毎日出かけては、間違った解答を他の生徒たちの前で披露する、という生活でした。

じぶんでも、余りの出来なさに嫌気がさして、通学がえりに千種の本屋をのぞいてみました。

中学のころ、毎朝、ラジオの英語会話の放送を聞いていました。

当時の講師、松本亨先生の素敵な声にうっとりしながら、聞いていたものです。

本屋には、英会話の本のコーナーがあり、そこには、何冊もの松本先生の著作が並んでいました。

いくつかの本を取り上げては悩み、最終的に、「書く英語」という本を買うことにしました。

この本は、すごく優しい英文の書き方の本でした。

そのことも気に入ったのですが、本に挟まれていたのが、松本先生の【高等英語専門学校】という学校のチラシでした。

裏には、夏休みには、「大学受験」のセミナーも開かれる、と書かれていました。

松本先生の文章には、とても暑い熱が含まれていて、読んでいると、その世界にわくわくしました。

英文をひとつひとつ覚えていかなくてはならないこと。

教科書の英文も、すべて覚えてしまわなくてはいけないこと。

そうした訓練を経て、「英語で考える」という方法が身についていくこと。

わたしが、たまたま高校1年生だったため、松本先生の平日の講座はもうやっていませんでした。

(中学3年までで、松本先生は、平日の講義を引退されていました)

それでも、松本先生の講座が、そんなにすばらしいものだったのか!という驚きもあり、先生のNHK時代に出されていたカセットブック「ナンシーとジョージ」を買い、何度も聞いていました。

松本先生の志を継ぐ先生方のエッセイの載った、機関誌チャレンジも出されていて、毎回、出版されるごとにわくわくして読みました。

そのなかに、「ナンシーとジョージ」の利用法が載っていました。

毎日、すこしずつ、音読し、繰り返して読んで覚えていく、と書かれていました。

とりあえず、「ナンシーとジョージ」をダビングして、コピーを作り、毎日(当時は重くて運びにくい)テープレコーダを抱えて通学し、できるだけ覚えるようにしました。

 

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