むかし、愛読していた吉川英治さんの「宮本武蔵」を久しぶりに書棚から出して、読んでみました。
はしがきによると、「戦後最も読まれた小説」(昭和38年刊)だとのことで、たしかにいまでもコミックの「バガボンド」として人気を博しているわけですから、大変な人気作品だと言えます。
この面白さはなんなんだろう、と思っていたところ、NHKのEテレでやっている「100分で名著」の1回目を見て、コツがわかったような気がしました。
今回の「100分で名著」はアレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」を扱っています。
「宮本武蔵」も「モンテ・クリスト伯」も新聞小説でした。
「名著」での解説担当は作家の佐藤賢一さんですが、この方が指摘された点は、毎回山場を作る、というポイントでした。
たしかに意識して読んでみると、連載1回分と思われる分量の中に、それぞれ少しずつわくわくさせる部分を入れてあります。
これはスピーチとして使えるな、と思いました。
2分間のスピーチ、というのは、ある意味で新聞小説連載1回分の原稿3枚分に匹敵すると思います。
このなかに、それぞれ、起伏のある展開を含ませることができれば、聞き手である審査員の方の気持ちをぐっとつかむことができるはず。
もちろん、「武蔵」や「モンテ・クリスト」をすべて読む必要はありませんが、書店で手にとって、どこでも1回分を立ち読みしてみると、このテクニックがつかめるかもしれません。