今日から1級(長文編)③
2018年度の第1回の問題から、1級の長文にチャレンジしています。
大問3のひとつめ、A Matter of Taste の3段落です。
いままで、フランスの社会学者のピエール・バルデューの論理を追いかけてきました。
基本的には、「上流階級の人は、その階級にあう趣味を持つ。そして、その好みによって、各階級は区別される」というものでした。
バルデューは、20世紀でもっとも引用され、影響力の大きな社会学者である、とかかれています。
さらに続けて・・
If elites seem to discriminate less with regard to the music and books they enjoy, then how, critics ask, can we say they are setting themselves off by virtue of their tastes?
discriminate = 区別する
with regard to = ~に関して
set off by ~ = ~で埋め合わせる、相殺する
virtue = 美徳、徳目
もしエリートたちが、自分たちの好む音楽や書籍に関して、区別をしないように思えるなら、(と批判者たちは問う)、どのようにして彼らエリートは、自分たちを、好みのけだかさで区別するというのか。
そして、具体例として、何でも屋、というか、なんにでも興味を持ち、巧みに行う人を取り上げています。
Omnivores, it seems, are simply elites who have found a novel way to show off their cultural capital as they cultivate an attitude of apparent inclusivity.
omnivores = 何でも屋、なんでも巧みにこなす人たち
novel = あたらしい
show off = 示す
inclusivity = 包括的であること、何でもできてしまうこと。
何でも屋、というのは、自分たちが明らかに何でもできるようになっているので、その文化的な資産を見せる新しいやり方を見つけ出したエリートなのである。
というわけで、多才ぶりは、逆に、下級の人たちの好むことまで巧みにこなしてしまうが、もちろん、上級階級の娯楽も上手にしてのける、エリートであり、選ばれた階層なのだ、と示しているわけです。
ただ、このあたりの解釈が、むしろ、今まで見てきたように、いくつかの文だけをピックアップすれば、かなりわかりやすくなるのですが、全文を改めて読むと、実に分かりにくい文章になっている、と言わざるをえません。
いいかえると、そうした表現の難しさを乗り越えることが要求されるのが、1級という試験なのです。
ある程度、与えられた英文を繰り返し読みこんで、このあたりの読み取り方を身に着けていく必要性があります。