音読は、パソコン化した脳のバランスをとる!

あなたはインターネットをどのくらい使っていますか。若い人たちと話していて、「知っている」ということの概念が変わりつつあると感じることがあります。最近の若い人たちの間では、「ネットで調べればすぐわかるはす」ということが「知っている」の中に入っているようです。先日、「物忘れが激しい」と家族に言われてやってきた20歳の患者と話していたところ、「先生、こんな話、知ってる?」と言い始めたので、耳を傾けると、…

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解説マニア

文庫の解説を読んでいると、「まず解説を読む習慣のある人たちは、ここから先はネタバレになるから読まないように」とか「解説を読んでから、購入するかどうか決める方には、悪いことは言いません、すぐにお金を出してレジに並ぶことをお勧めします」といった表現にお目にかかります。これは、文庫の解説を読むことが趣味になっている人たちが案外多くいることを示しています。実は、わたしもそうした読み手のひとりです。シャーロ…

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まだらの紐

シャーロック・ホームズの活躍する話の中でも、一般の人たちの間では、1,2を争う傑作として名高いのがこの「まだらの紐」。ある日の朝早く、ホームズのもとをたずねてきた若い娘。彼女は、父、姉と同じ家に住んでいるが、父親というのはかなり変わった人物で、以前は未開の国にいて、医者として活躍していた。のちに彼女たちの母と結婚、イギリスに住むようになった。ところが、母が亡くなると、獰猛な獣を飼うようになり、また…

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ホームズ、復活!

送られてくる通信販売のカタログでも、ほぼ確実に載っているジェレミー・ブレッドの「名探偵ホームズの冒険」のテレビ・シリーズのDVDボックス。この中でも好きな話が「空家の冒険」です。さきごろ、この作品のDVDを見直して、こまかな部分の記憶がよみがえりました。これは、原作ではThe Return of Sherlock Holmes (シャーロック・ホームズの生還)の最初の話です。作者コナン・ドイルが、…

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本棚探偵の生還

前回、ふれておいた「本棚探偵」のシリーズです。「帰還」か「生還」か、どちらになるか?ということだったのですが、これは、創元推理文庫版の邦訳である「生還」を選んでもらえたようです。(実は、新潮文庫版では「帰還」で、「生還」か「帰還」のどちらを本来の訳とするかは、その人が最初にどちらの文庫に遭遇したかによるところが多いようなのです)ところで、電車の中というのは、本を読むのに最適の場所です。通学電車の中…

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「冒険」「回想」とくれば・・・

「本棚探偵の冒険」「本棚探偵の回想」という本があります。イラストレーター、マンガ家であり、またこれらの本でもわかる、名だたる古本収集家の喜国雅彦さんの著作です。それでは、最近出版された本棚探偵の三作目のタイトルは・・?もちろん、帰還か生還であるはずです。そして、次回作のタイトルは、「最後のあいさつ」でなくてはなりません。え、どうして・・?シャーロック・ホームズをご存知ですか。イギリスの作家、コナン…

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奇病連盟

「奇病連盟」は、作家北杜夫さんの作品です。子供の頃、当時とっていた朝日新聞に連載されていて、毎日楽しみにして読んでいました。山高武平(ぶへい)は準大手製薬会社のサラリーマン。朝起きるのが苦手なフクロウ型の彼は、午前4時にはばっちり目を覚ますヒバリ型の母親と同居して、なんとなく疲れてしまっている37歳の独身男。武平には、奇妙な病気があって、それは4歩ごとにぴょっこりとのびあがってしまうというもの。こ…

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北杜夫さん、亡くなる

今日、25日に作家の北杜夫さんが亡くなったことが報じられました。私にとって、北さんは、いわば大人の小説への扉を開いてくださった恩人です。朝日新聞に連載された「奇病連盟」が、いわば大人の小説への入門編になりました。躁と鬱をある程度周期的にくりかえす、躁鬱病(いまでは双極性ナントカというらしいですが)という病気を患っていらっしゃって、その病状が作風に大きな影響を及ぼしている面があったと伺っています。た…

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坂口安吾『不連続殺人事件』

愛読している推理小説のひとつが、坂口安吾の『不連続殺人事件』。戦後、『堕落論』で、人間が、自由に生きることを訴えたことで有名な坂口安吾。戦争中は、仲間を集めて、推理小説の謎とき部分を破り捨てて、犯人あてに興じたといいます。この安吾が、機会を得て、懸賞付きの犯人あて本格推理を書きました。それが、この『不連続殺人事件』であります。この作品は、戦争直後に、田舎に引っ込んだ金持ちによばれて、奇人変人、一筋…

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第2次世界大戦の時の日系人収容所

松本亨先生の作品に「英語のイントネーション」という本があります。もちろん、この本の主眼は、イントネーションの勉強なのですが、松本先生らしい工夫があります。それは、先生が、感情の表れやすい恋愛物語を書いて、それを通じて英語を学んでもらおう、というアイディアです。イントネーションを学ぶのですから、物語自体はすべて会話形式。舞台はアメリカ。主人公は日本人留学生のトミオ。日本軍が真珠湾に奇襲をかけたニュー…

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