平清盛

松山ケンイチさんの「平清盛」です。目がすごい、と思いました。2月29日放送の回で、清盛の父、忠盛(中井貴一さん)が、武士であるにもかかわらず、ほんらい貴族にしか許されない、殿上にのぼることを認められたため、王侯たちの姑息な嫌がらせに遭遇します。これを、松山ケンイチさんの清盛は、じっと見ています。睨みつけています。この目がすごい。清盛のライバル、源の義朝役で、玉木宏さんがでています。玉木さん自身、か…

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綾辻行人と有栖川有栖の「ミステリ・ジョッキー」

講談社の季刊雑誌「メフィスト」の連載です。最終回の2011年Vol.2では、「ミステリ・ルール」でした。この連載のすごいところは、現在ミステリ・シーンの先端を走っている二人の作家が、具体的な作品をとりあげて、参考にすべき点を語っているところですが、その作品も採録して読めるようにしてある、ということ。ふつう、ある作品について論じている座談会などはよく見かけます。でも、実際にその作品がすぐ手に入る状態…

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鹿男あをによし サウンド・トラック

2008年はじめに放送されたテレビドラマ「鹿男あをによし。」今をときめく玉木宏さん、綾瀬はるかさん、多部未華子さんといった豪華キャスト。原作は「プリンセス・トヨトミ」の万城目学さん。この音楽がたまらない。このところ、ほとんど毎日、聞いています。わたし自身は、あまり音楽心、というものがありません。今までの人生で、レコード、CDといったものを購入したことはほとんどなかったのです。ところが、この鹿男だけ…

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「北の夕鶴2/3の殺人」島田荘司全集Ⅲ

ミックスというのは、時として、予想のつかない大きな実を結ぶことがあるようです。江戸川乱歩賞に応募、でも残念ながら受賞を逃した「占星術殺人事件」が異例ともいうべき扱いで出版され、これがデビューとなった島田荘司さん。デビュー作品で登場したのが、ホームズをずっと極端にした形の天才型私立探偵、御手洗潔。ところが、当時、江戸川乱歩賞は評価しても、ヴァン・ダインやエラリー・クィーン的な本格推理は子供っぽいとし…

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澁澤龍彦集成I (澁澤龍彦)

「黒魔術の手帳」「毒薬の手帳」「秘密結社の手帳」といういわば西洋史のダークサイドというべき部分について、当時一般向きのものとしては限られた情報を提供してくれたのが澁澤龍彦氏の著作でした。「夢野久作全集」の月報に中井英夫氏が書いているのですが、本来なら、日の光の当たらないところにいるべき著作が、いまはいくばくかのお金と共にレジに差し出せば、簡単に手に入ってしまう。こんなことがあり得ていいのだろうか。…

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笠井奈津子「甘いものは脳に悪い」(幻冬舎新書)

「やせるためには野菜を食べよう!」という考えは神話!今までに思っていた、食の常識が塗り替えられます。洋食よりも和食がいい!これは、折にふれ、料理番組や、健康番組で言われていることです。いわく、栄養のバランスが取れている。いわく、肉よりも魚の方がからだに良い。いわく、・・・笠井さんのこの本には、今までに知らなかった、まったく新しい知識が載っているわけではありません。ただ、なぜいけないのか、がわかりや…

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「ギラギラ☆落語ボーイ」三遊亭白鳥

落語小説。と書いても何のことやらわからないかもしれません。いうなれば、落語版「巨人の星」パロディー、といえば通じる人には通じるかもしれません。二つ目になったばかりのピョン太という落語家。受けない。仕事がない。金がない。三拍子そろって、それでも、おれはプロの落語家だ、というプライドはある。うまくなくても、自信とプライドはあるから、結構な大ネタを寄席でやる。あげくに、自己満足の落語をやってんじゃない!…

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「つながる読書術」からのネットワーク

教員だった頃、「月曜会」という英語の会を作りました。はじめは名古屋南高校の数人の教員が集まって、タイムの記事を読んだり、英検の問題を解いたり、ディスカッションしたりの勉強会でした。アルク(English Journalの出版元)の会員用機関誌に取り上げられたり、2-3の雑誌に載せていただいたりして、徐々に知名度も上がりました。レギュラーで参加してくださる方も少しずつ増えました。教員をやめて、自営業…

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日垣隆「つながる読書術」

日垣さんのメルマガ「ガッキーファイター」のファンで、できるだけ新しく出された本にも目を通すようにしています。日垣さんのすごさは、あるものの基準を、数値化して出してくれることです。たとえば、この本では「本の読み方」として、一冊を三時間で読む方法として、「3つのポイントを抽出する」ことを挙げています。1、「おもしろい!」と思う箇所を10ヶ所2、「人と話し合いたい」あるいは「自分で考えたい」というテーマ…

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泡坂妻夫「奇術探偵曽我佳城全集」結び方のコミュニケーション

わたしが学生だった頃、「幻影城」という雑誌がありました。江戸川乱歩にも、推理小説の評論集として同名のものがありますが、これはおそらくそれからとったタイトルだったと思います。島崎博というもともと台湾の方が、書誌家としての膨大なコレクションを背景に、昭和初期の「探偵小説」を採録していた、エラリークィーン・ミステリマガジンのような雑誌でした。この「幻影城」が、創刊2年目ころに新人賞をはじめ、その受賞者の…

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